女性とタバコの話。 [そこくるりずむ]
ちょっとニュースで喫煙者率というものが出たので、少し調べてみる。
JTの「全国たばこ喫煙者率調査」(04年)を見てみると、
現在(といっても04年のデータだが)の喫煙者率は、男性平均で46.9%、女性は13.2%らしい。男女合わせての数字は29.4%。なかなか…。20歳以上の男性は二人に一人がやっぱり吸っているわけだ。自分の周りを見ていても、5割とまではいかないが、確かに30%くらいはいる気がする。
で、まぁこれだけでは多いのか少ないのか分からないので、世界と比較したものがよく挙げられる。ということでまた探してみると、「たばこよろず情報」に行き着いた。これによると、先進国の中では日本がトップらしい。これまたデータが少し古いが、男性平均が少し他国と差をあけて多いことがよく分かる。
逆に女性の喫煙率を見ると、ちょっと驚く。他国は軒並み20%以上なのに、日本はまだ10%台。なぜだろう。日本の情操教育やら文化やらが一役買っている、そう考えていいだろうか。
総人口との兼ね合いで、そんなに一概には言えないだろうが、なぜ日本女性の喫煙率が不自然に少ないのか、少し気になった。
たばこの値段が関係しているのではないか、と思いついたので調べてみる
「世界のたばこ事情」(北海道新聞)によると、日本は割と安い。あくまで“世界と比べたら”だが、これが喫煙率に関係していないということはないだろう。反対に、ヨーロッパは目を疑うほど高い。イギリスは20本入りで800円!一本40円となると、おいそれとは吸えなくなるだろう。アメリカも、それなりに価格は高い。
と、ここでさっきまでのデータにあまり出てこなかった国が出てきた。ロシアだ。(「先進国」という括りに入ってないの?ロシア。)ロシアのタバコは100円程度。 それに比例してか、喫煙率は日本のそれ以上だ。安いと吸いやすくなるのは当たり前か。
各国の経済状況や、たばこ精製のコストなどにも違いがあるので鵜呑みにはすべきでないが、この状況を見る限り、日本で「喫煙率を下げるには、たばこの増税を!」という意見が出てくるのも仕方あるまい。
調べる前の予測では、「日本はタバコが高すぎて、日本女性の収入では買いづらいのではないだろうか。」などと考えていたが、他国の様子を見てもそんなことはないようだ。オンナノコはいろいろと忙しく、いろいろとお金がかかるので、タバコなんてものにかける余裕なんてない、そう思っていたのだが、浅かったか。
「たばこよろず情報」に戻ると、日本以上に“女性の喫煙率が不自然に少ない国”があった。シンガポールだ。「シンガポール」という名前を聞くだけで、「ああ、なんとなく分かる」となってしまうだろう。女性の喫煙率は驚くべき2.7%。ちょっと打ちミスっぽいので他のデータを調べてみたが、まぁ高くて10%前後といったところだろう。Wikiを見てみても、
たばこを吸う場がないと、喫煙率が減るのは当たり前だ。公園だけとなると、女性が尚のこと吸いにくいのは良く分かった。
が、日本の状況は、これとは少し違う気がする。うーむ。
とすると、やはりフェミニズムの問題に向かってしまう。
吸うのを良しとされなかった女性たちが、「別に吸ってもいいじゃん」という強さを獲得し始めた、ということになる。西欧(先進国)で女性の喫煙率が高いのは、女性の社会進出に伴って、ではないか。稼ぎがあれば、吸うのは自由だ。そうして、喫煙という領域に置いても男女の機会は均等になっていく。
日本女性の喫煙率はまだ低いものの、数値自体は徐々に上がってきているというデータがある。つまり、日本の女性の喫煙率は、単に“不自然に低すぎた”だけだ、ということである。日本が“ジェンダーフリー”を遠ざけつつも、少しずつその方向にシフトしていっているのが、この喫煙率から良く分かった。
村上龍は、「国が豊かになると、女たちはのさばりはじめる」と書いた。日本女性がのさばりはじめたかどうかは置いておいても、吸う自由を獲得し始めたのは確かだ。
と、小一時間考えて、結局「女性の社会進出は進んでいるようだ」という、なんとも陳腐な答えにしか行き着くことができず、僕はタバコを吸いたくなったのであった。
コメント 0