どんより和田町商店街 [ひとりあそび]
まず今、音を出して良い環境にいる方は、
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MIDIを聞きながら読むと良いかもしれません。
12月、暖冬暖冬と叫ぶことで人々が遠ざけてきた寒さもようやく訪れ、うっすらと差すか差さないかの朝日に僕は目を覚ます。朝まで友人と話し込み、眠ったのは午前7時くらいだっただろうか。時計を見ると今は午後1時。さてさて、今日もまた夕方から友人と会わねばならないので、身支度と部屋の掃除を今のうちに。
忙しさのせいにしているのは分かっていながらサボっていた家事を、次々とこなす。もう、実家に帰る夜行バスの時間は決まっているのだ、新年にまたここへ帰ってきた時、せっかくの2007年気分を害されてはたまらない、と、ひたすらに全てを“キレイ”にする。本の整理にゴミまとめ、トイレ掃除に洗濯…と、時期が時期だけにさながら大掃除だ。
少し足りないものがあったので、買い足しに家を出る。コートを羽織り、財布と携帯電話、そして自転車の鍵をポケットに入れて階段へ。外の寒さに思わず震える。コツコツと下った先にあったのは雪、ではなく散らかったビラだった。
低い低い曇り空の下、自転車にまたがり、商店街へと駆け入る。
「カーテンを開いて 静かな木漏れ日の
やさしさに 包まれたなら きっと」
壊れかけて音の割れた商店街のスピーカーから、オルゴールバージョンのこの歌が聞こえてきた。
はぁ。
必要なものを買い揃え、再び家へと向かう。
まだスピーカーからはこの歌。さびれにさびれた商店街らしい切ないメロディラインが、道行く人の表情と共鳴する。それに飲まれないように、飲まれないように、と、アパートの前の道へと滑り込んだ。自転車を止め、階段を上る。ここまでは、あの歌も聞こえてこない。
掃除をすませ、大体実家へ持ち帰るものの整理もついた。時間は午後3時過ぎ。昼間だというのに一向に暖かくならない部屋を呪いつつ、お風呂にお湯を張る。昼夜逆転が続いたここ一週間、もう昼間にシャワーを浴びるのは慣れてしまった。そんな状況をリセットするために、僕はよく実家に帰るのかもしれない。横浜編-第○章、のように見ると、実家は一つのジングルでもある。
そしてお風呂場へ。冷え切った手足がお湯で急激に暖められ、きゅぅっと痛くなる。立ち昇る湯気を眺めつつ、また考え事にふけった。そして、体を洗い終え、シャンプーに手を伸ばす…、と、再びあのメロディが僕を襲う。
「雨上がりの庭で くちなしの香りの
やさしさに 包まれたなら きっと」
微かだがしかし確かに聞こえるオルゴール音は、一度耳につくとなかなか離れない。シャワーの音で必死にかき消そうとするも、ポロンポロンという機械的なスピーカーの声は特徴的でやけに響く。
なんだか分からないが、死にたくなった。
はい、えーここまで。
曲止めましょう。死にたくなります。
いや、死にたくなったのは嘘だけども、
こんな状況になってしまったのは事実。
11月の中旬から何故だか分からないが始まった
「和田町商店街スピーカーでのご案内」が、
はっきり言って、ダメすぎる。
これは自殺を助長するよ。まじで。
「こちらは、和田町商店街です。年末、年始は…、」
みたいな自治会長の声が毎日毎日繰り返されて、
流れてくる曲はやけに暗めのクラシックや、
雨の日に一人で部屋で聞く系の曲の、しかもオルゴールアレンジ。
これは、ダメ。
こんな商店街が流行っている姿を想像できない。
●人通りの少なさ、
●天気の悪さ、
●「やさしさに包まれたなら」
この3点が見事に揃ったときの和田町商店街を見てしまったら、
人はすべからく「この世の終わり」を想起してしまうよ、
本当に。
和田町商店街関係者の皆さん。
今すぐ流す曲を変えて下さい。
「ジングルベル」とか、「もういくつ寝るとお正月」とか、
いっぱいあるでしょうに。
商店街付近在住の皆さん、死なないように気をつけましょう。
そのとおりですね。あの流行らない曲、和田町商店街の会長さんみたいな声、気持ち悪ーい。あんなんで買い物しないよーーね。
by このブログ面白い (2007-02-08 15:36)
>>このブログ面白いさん
最近は音楽も止まったようで、
今度は逆にさびしくなりましたね。
まぁ自殺幇助よりは良いか。
あの音楽のせいかどうかは分かりませんが、
年明けてからまた2軒くらいお店が変わっています。
不気味。
by nasujirou (2007-02-09 15:07)